リフォームのトラブルが多いことや色々な悪徳な手口があるということは聞いていましたが、この青年なら誠実そうだし、嘘はつかないだろうと思い、すっかり彼を信用して屋根の点検をお願いしてしまいました。
「かなり屋根がずれていましたよ」
「このまま放っておくと、ちょっとした地震でも屋根が落ちてしまうかもしれませんよ」
点検が終わった後は、こんなことを言われました。
「屋根が落ちてしまう……」
そう言われたら誰でも不安になってしまいますよね。
「これから台風が来たら屋根が危険ですね……この写真を見ていただけますか?」
そう言われて差し出されたのが大きくずれてしまっている無惨な屋根の写真でした。
「最近はこんな風に屋根がずれてしまっているお宅がとても多いんですよ。今すぐ修理しないと屋根がダメになってしまいますよ」
台風は毎年来ますし、よく屋根が飛ばされるニュースも見ていたので不安になりました。
「まさかうちの家がそんなことになるわけない」と思っていたのですが、業者から実際の写真を見せられたら不安になり、すっかり信じてしまいました。
そして、お客様はその業者を信用して工事契約を交わしてしまったのです。
工事契約はその場で交わされて工事代金も支払い、工事日を決めました。
ですが、工事日はどんなに待っても業者は来ません。
「何かあったのだろうか?」と気になって連絡をしたのですが、電話が繋がることはついにありませんでした…